バルコニーから

2013年 09月10日

 当会場の7Fホール、8Fホールのバルコニーから見る景色。見えるのはビルが中心ですが、かなりの絶景です。内神田、神保町、竹橋、大手町方面が見渡せます。

 近くで目を引くのが、地元神田の名門企業、㈱久保工さんの藤の木。ビルの壁面に蔓が這い、8階建てのビルの屋上まで蔓が届いています。屋上緑化・環境対策を推進している同社を象徴するような見事な木です。内神田の町にうるおいをもたらしています。久保工 つた

  人体や環境への影響が大きい都市のヒートアイランドの緩和策として屋上緑化、壁面緑化が提唱されていますが、会場のバルコニーから見る限り、東京都心部では残念ながら緑化はあまり進んでいないようです。屋上に緑はほとんど見えません。かつてはこのあたりのビルの最上階にビルオーナーさんが住んでいて、屋上庭園を造ったり、植木鉢を置いたりしていましたが、現在はビルの最上階に住むオーナーさん自体も大分減っているようです。
バルコニー1

  緑の多い皇居では夏の平均気温が周辺地区より約2℃低いそうですが、都市の冷却効果を高めるためには、おそらく屋上緑化や壁面緑化はもっと大掛かりに、一斉にやることが必要でしょう。

  目を大手町方面に転じてみると、ビルの高層化が年々進んでいることが分かります。

 右下の写真の中央のレンガ色の大手町KDDIビル。1990年(平成2年)竣工の23階建ての高層ビルです。竣工当時は、付近の建物を凌駕する超高層ビルでしたが、現在はあれまー、小さく見えます。周囲に35階以上のタワービル(180~200メートル)が出来た結果、相対的に小さくなってしまいました。大手町、丸の内方面の高層化のスピードには驚くものがあります。
バルコニー2

  東京23区ではここ50年間で建物の高さが約3倍高くなっているようです。建物が高くなると、天空率(地上から見上げたときの空の割合)が低下し、夜間の放射冷却が弱まり、ますますヒートアイランド化が進むといわれています。

 また高層ビルの高密度化が進むと、都市に壁を作り、昼間は海からの涼風を引き込み、夜は陸の温風を海に逃がすという海陸風の動きを妨げるという問題も出てきます。数年前、汐留の開発により高層ビル群の北側の新橋地区の気温が上昇していることが話題になったことがありましたが、現在巷では練馬区の方まで影響が及んでいるといわれています。会場のある神田地区ももう相当高温化しているのではないでしょうか。

  都市化が進む中で人が快適に過ごすためにはどうすればよいのか。東京のヒートアイランド現象を昂進させる状況は続きますが、その緩和策は全く追いついていないような感じがします。このアンバランスを放置すると人が危険に追い込まれることは間違いないと思います。

 日射により温められた空気が上昇気流となって積乱雲を形成し、降雨をもたらすという現象を、かつては「夕立」という風情のある言葉で表現しましたが、現在はその激しさのため「ゲリラ豪雨」というようです。隅田川の花火大会がゲリラ豪雨で中止になったことは記憶に新しいですが、高温による積乱雲の異常発達により、これまで経験したことがないような落雷、竜巻のような危険がまだまだ出てくるような気がしています。

  オリンピック、パラリンピックの東京開催が決まり、日本の未来に期待が高まっていますが、行政当局はオリンピックだけでなくこういうことにももっと目を向けるべきではないでしょうか。東京にも生身の人間はたくさん生きています。行政当局に危機感があまり感じられないのが残念です。

  打ち水大作戦
打ち水

                      打ち水大作戦本部 <打ち水大作戦2013>より

  ヒートアイランド対策の切り札として注目されるのが、江戸時代からの伝統的文化である「打ち水」。政府や自治体も奨励しており、2003年から社会実験として全国各地で「打ち水大作戦」が行われているようです。

  道路に水を撒くことによって生じる気化熱によりアスファルト地面の温度を下げて地面からの輻射熱を抑え、大気の温度を下げるという理屈のようです。要するに水で熱くなった地面を冷やすのですね。かなり効果があるようです。メッシュ状の東京の道路で一斉に行われたらどのようなことになるのでしょうか。即効性が期待でき、なにかワクワクします。

 夏はダムの貯水率が下がり水不足になるので、打ち水には水道水を使わず雨水や二次利用水(下水再生水、風呂の残り水、エアコンのドレン水等)を有効に活用する。このことで人々の節水意識が高まればこれまたいうことはありません。

 江戸時代のエコライフを現代に蘇らせるヒートアイランド化緩和の秘策に刮目ですが、これを単なるイベントに終わらせるだけでなく、効果を期待するなら真夏は雨天以外の日は毎日実践することが肝要。人の生命、安全にかかわることです。実行しやすい「打ち水」のシステムをつくれば多くの国民が協力すると思います。国や自治体の本気が試されています。

  エアコンのドレン水を下水道に垂れ流さず、容器に溜めて朝か夕方の一定時間に一斉に撒くというのはいかがでしょうか。日本の夏の蒸し蒸しする湿度の高い気候を利用して涼しさを作りだすという逆転の発想に魅力を覚えます。

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