ベートーベンは79回引越したらしい 追記あり

2019年 12月06日
 年末になるとベートーベンの交響曲第9番(合唱付き)が日本各地のオーケストラで演奏される。欧米にはない日本だけの習慣のようだ。
 合唱で歌われる「歓喜の歌(よろこびの歌)」はドイツ語を翻訳した難しい歌詞もあるようだが、我々の耳に残っているのは「晴たる青空 ただよう雲よ 小鳥は歌えり 林に森に・・・・」という岩佐東一郎氏作詞の日本語の歌詞。
 戦前ナチスによるユダヤ人迫害を逃れるために来日した、NHK交響楽団のユダヤ人指揮者の指揮によってこの曲が日本で演奏され、絶賛されたことが国内に広まるきっかけなったようだ。戦前の1940年(昭和15年)の大晦日からNHKラジオを通じて毎年この「第九」の演奏が放送され、師走の定番曲となっていったと云われている。戦後は経営に窮したオーケストラの楽団が窮地を脱するために、師走に人気のあるこの曲で「餅代」を稼いだそうである。かくして「第九」は師走を表す季語となった。

 今朝10時頃、神田司町二丁目の裏道で通勤途中に見かけたのが冒頭の車。なんという面白さか。思わず笑ってしまった。カメラを向けると運転手さんも笑って撮影に協力してくれた。
 一般的な運送屋さんの車の側面にはハト、飛脚、黒ネコ、カンガルー等が描かれるが、この車は斬新にも言葉をビジュアル化して周囲に訴えかける。その言葉も「選ばれる理由」、「人気の秘密」とかの俗人の考える手垢の付いた紋切り型の宣伝コピーでなく、驚くことにベートーベンの引っ越し回数である。変わり者のベートーベンは近隣との折り合いが悪く、実際何度も引っ越しを繰り返したようである。このエピソードをただぶつけてくる卓抜したセンスには驚くしかない。俗っぽい宣伝コピーよりはるかに目立ちインパクトが大きい。。
変わり者でごめんね
画像は「キリヌケ成層圏」ブログよりお借りします。似顔絵の達人です。
 このトラックの運送会社は、若い人の創った会社のようで、顧客のために無駄を省き超低価格を実現した凄い会社のようだ。頭の使い方が違う。
<追記>2019.12.9
葛飾北斎は93回引越したらしい
 当ブログ記事を読んだ方からケーエー引越センターの車に「葛飾北斎は93回引越したらしい」と描かれたものを見たという連絡を受けました。そうでしたか。ネットで調べてみると確かに北斎バージョンもあるようです。デザインの元になったのは、昨年3月に掲載されたソフトバンクのスマホ記事のようですが、ベートーベンや葛飾北斎の引っ越し魔ぶりは有名なようです。
 富嶽三十六景等北斎の書いた絵はよく見ますが、北斎の肖像画は見たことがなかったので調べてみると、自画像も含めいろいろありました。晩年の姿が描かれた絵が多いので顔の皺が目立ちますが、キリヌケ成層圏の切り絵の達人加藤氏にかかるとこのようにされてしまいます。よく似ていますが、あな恐ろし。(笑)
葛飾北斎の似顔絵

変わり者で何が悪い

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